効果的な夜尿症診療

夜尿症について

夜尿とは、夜間就寝中に不随意的に遺尿を生じ、衣類や寝具を湿潤させる状態をいいます。

おねしょ 幼児期に、夜寝ている間におもらしをする場合。(排尿に関わるメカニズムが未熟)
夜尿症 5~6歳を過ぎても月に数回以上おねしょをする場合。

夜尿症の初期診療 ~小学生になっても続くおねしょをどう診るか~

夜尿症の経験は子供に強い精神的外傷をもたらします

クリティカルライフイベントとしての夜尿症の影響度

8~16歳の若者において、夜尿症が、両親の離別、争いに続き、3番目に強い精神的外傷をもたらす出来事としてみられました。
これらの経験は、いじめよりも悪い経験とみなされました。
夜尿症の経験は子供に強い精神的外傷をもたらすことが示唆されています。

夜尿症に悩む患者が多いにもかかわらず、未受診・未治療の患者が多い

夜尿症患者数と治癒患者数(推計)

厚生労働省の人口動態統計などの資料から推定すると、わが国における夜尿症患児の総数は約78万人に上るとされています。しかし、実際に医療機関を受診している患児は推計で約16万人であり、そのうち治療を受けているのは約4万人にすぎません。

夜尿が続いて受診した小学生に対しては「とりあえず様子をみる」時期は過ぎています

年齢別の夜尿症罹患率

罹患率は、幼稚園の年長時で約15%、小学校3年生時で約8%、小学校5〜6年生時で約5%と高率であり、30人のクラスであれば、 2〜3人程度は夜尿症の患児がいるという計算です。つまり経過観察で様子をみているだけでは、小学校入学時に夜尿がある子供の約半数は、小学校高学年でも夜尿をしている可能性があることが知られています。

早期の治療介入が、夜尿卒業までの期間を短縮させます

自然経過例と治療例における夜尿症治癒率

夜尿症は生活指導、薬物療法、アラーム療法などの治療を行うことで、自然経過よりも約3倍治癒率を高めることができます。小学校低学年で生活指導などから夜尿症初期診療を開始することで、宿泊行事の増える小学校高学年までに夜尿を卒業させることも可能となります。

初期診療での問診のポイント

プライマリケア医の診療(問診)

問診の後に、生活指導と日誌などにより寝具の濡れ具合や、夜尿回数、排便排尿の頻度を記録することで初期診療をスタートします。それほど高い頻度ではありませんが、6ヶ月以上みられなかった夜尿が再開したり、昼間尿失禁や尿意切迫症状・頻尿や遺糞がよくある場合には、基礎疾患がある可能性が高いと考えられ小児泌尿器科など専門医への紹介も考慮します。

生活指導のポイント

生活改善リスト

夜尿症治療の基本は、生活改善に取り組むことです。この取り組みは、お子様の約2~3割が生活改善の実施のみで夜尿しなくなる、と言われるほど重要です。

規則正しい生活をする
夜更かしや不規則な生活は夜尿を悪化させます。早寝、早起き、決まった時間の食事を心がけましょう。朝食と昼食は、しっかり食べましょう。夕食は控えめにして、できるだけ寝る3時間前までに済ませましょう。
水分の取り方に気を付ける
寝る前に水分を摂り過ぎると、夜尿につながります。ただし、水分はからだにとても大切ですので、朝食と昼食ではたっぷり取ってください。昼食の後からは水分(ジュース、お茶、牛乳など)を控えめにし、夕食時から就寝まではコップ1杯程度までの水分摂取にとどめましょう。
塩分を控える
塩分の取り過ぎは、のどの渇きからおねしょの原因となる水分の取り過ぎにつながります。また塩分の取り過ぎは、水分を取り過ぎていない場合でも、おねしょの原因になります。
夜中、無理にトイレに起こさない
夜中に無理にトイレに起こすと、寝ている時間におしっこをする習慣がつきおねしょが治りにくくなることがあります。
寝ているときの寒さ(冷え)から守る
冷えは、尿が作られる量を増やし、膀胱が縮小することにつながります。特に冬は、下着を重ね、靴下を履き、ダウンベストを着る等により、体幹を冷えから守り、温かくして寝ましょう。
寝る前にトイレにいく
トイレに行ってから寝る習慣をつけましょう。
布団に入り30分~1時間経っても寝付けないときには、もう一度トイレに行きましょう。

夜尿症初期診療の全体像(治療の流れ)

夜尿症初期診療の全体像(治療の流れ)の図

受診をされる患児、それからご家族は、ものすごく悩んだ上で受診をされて、非常に不安に思っているケースが多いということを念頭に置いて治療に取り組んでいただきたいと思います。多くの患児がまだまだ見過ごされている状況で、全国の夜尿症専門医の数は、残念ながら国内すべての夜尿症患児を診断・治療するには十分ではありません。だからこそ、小さなころから子供の成長に寄り添っておられ、最初に夜尿の相談・受診の確率が高い、かかりつけ医の先生にこそ、積極的に夜尿症初期診療に携わっていただくことが非常に重要なのです。このように、かかりつけ医の先生と夜尿症専門医が協力し、いまだ治療のレールに乗っていない患児の皆さんを1人でも多く救えるようになると考えています。

かかりつけ医における夜尿症診療

夜尿症の初期治療をかかりつけ医が担当することにより、より多くの患者さんが診療の流れに乗ることができます。当サイトでは、各段階で効率良く夜尿症診療が進められるように、「夜尿症診療キット」をご用意しています。フローを参考に、各資料をご活用ください。

夜尿症診療キットのお申込みはこちら

お申し込みにはおねしょ卒業!プロジェクト委員会会員へのご登録が必要です。

効果的な夜尿症診療

  • 夜尿症診療ガイドライン2016について
  • オンデマンド・ウェビナー公開中