夜尿症症診療ガイドラインについて

夜尿症診療ガイドライン2016について

夜尿症診療ガイドライン2016

頻度の高い疾患である夜尿症。近年、夜尿症に関する様々なエビデンスが報告され、根拠に基づいた診療を行える環境が整い、約12年ぶりに夜尿症診療ガイドラインの改定が行われました。
本コンテンツでは、本ガイドラインの作成委員長である順天堂大学の大友義之先生からご解説いただきます。

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動画の概要

夜尿症の定義は、ガイドラインでは、「5歳以降で1ヵ月に1回以上の夜尿が3ヵ月以上続く場合」とされています。
夜尿症は頻度の高い疾患であることから、その適切な治療を行うためには、多くの先生方の関与が欠かせません。本ガイドラインは、非専門の先生方にとっても分かりやすいようにシンプルに作成しましたので、是非参考にして、夜尿症治療を行っていただければと思います。

夜尿症の治療意義

夜尿症は小学校入学直前で約20%に認められます。また、小中学生の罹病率は約6.4%と推察されており、アレルギー疾患に次いで頻度の高い慢性疾患と考えられています。本ガイドラインは、国内外の最新の臨床研究・報告を加味し、Minds(1)の手法に基づいて作成され、一般小児科医、泌尿器科医、内科医、家庭医などを利用対象者として、夜尿症の標準治療を示しています。

(1)公益財団法人日本医療機能評価機構が運営する医療情報サービス事業(Medical Information Network Distribution Service)

国際小児尿禁制学会(ICCS)では、夜尿症が解消しないことによる精神的・社会的負担が弊害になっていることから、治療に取り組むことの重要性を唱えています。
実際、日本における研究の結果からも、夜尿症は患者さんのみならず保護者の健康関連QOL(HRQOL)を損ないますが、夜尿症の適切な治療によって、それらが改善されることが明らかになっています 。 (2)
このようなエビデンスをもとに、本ガイドラインでも、患者さんや保護者が夜尿症に悩んでいる場合、積極的に治療することを推奨しています。

(2)Naitoh Y et al. J Urol. 2012; 188(5) :1910-4

夜尿症の診療アルゴリズムと積極治療

本ガイドラインは大きく「夜尿症の診療アルゴリズム」、「総論」、「Clinical Question」から構成されています。中でも診療アルゴリズムは重要であり、これを見ると、夜尿症の初診、分類から、治療法、フォローアップまでの全体像を知ることができます。新たな診療アルゴリズムでは、病型分類による初期診療を不要とし、積極治療を行えるようになっています。

デスモプレシン治療は、世界各国において、多くの夜尿症患者さんに対し有効性、安全性が報告されています。(3)
日本では、夜尿症治療におけるデスモプレシン製剤として点鼻薬と口腔内崩壊錠があります。かつては点鼻薬が使われてきましたが、数年前から口腔内崩壊錠に切り替わってきました。
デスモプレシンアラーム治療により改善が見られなかった場合には、抗コリン薬三環系抗うつ薬なども選択肢になりますが、専門医への相談を検討していただければと思います。

(3)日本夜尿症学会(編). 夜尿症ガイドライン2016. p.74, 2016

今回のガイドライン改定によって、エビデンスに基づいた夜尿症治療を行う環境が整いました。ガイドラインでは、夜尿症に悩む患者さんやその家族が望むのであれば積極的に治療を行うことを推奨しました。多くのかかりつけ医の先生方が、ガイドラインを参考に治療のスタートをきってくださることを望んでおります。

夜尿症初期診療フローチャート

夜尿症の初期診療フロー

*ミニリンメルト®OD錠の夜尿症における効能・効果は、「尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症」です。

※最新の各薬剤添付文書をご確認ください。

かかりつけ医が実践しやすい夜尿症初期診療フローチャート(監修:おねしょ卒業!プロジェクト委員会)を参考に、水分や食事のとり方、就寝前の排尿習慣付けなど、生活指導を実施しても効果が不十分な場合には、薬物療法やアラーム療法を開始します。
就寝前約2~3時間の水分制限がきちんとできることが確認できれば、海外のガイドラインで第一選択薬のミニリンメルト®OD錠を検討します。

また、アラーム療法では、夜中にアラームや振動音が響くことから、患児とその家族に対して根気よく夜尿症を治療する意志が求められますが、ミニリンメルト®OD錠と同様、海外のガイドラインでも第一選択として高い有効性が確認されています。

ミニリンメルト®OD錠やアラーム療法で十分な効果が得られない場合には、必要に応じて抗コリン薬を追加します。抗コリン剤は、過活動膀胱や神経因性膀胱の効能を有しています。

抗うつ薬は心毒性の副作用が理由により、世界での夜尿症治療としての推奨グレード(国際尿失禁会議:ICI)は低く、小児への投与は控えるべきと現在では考えられています。