夜尿症症診療ガイドラインについて

その他の治療薬

抗コリン薬※1

作用機序 抗コリン作用および平滑筋直接作用によって排尿運動抑制作用を発揮し、初発尿意量や最大膀胱容量の増加ならびに膀胱の無抑制収縮を減少させる。
薬剤名
  • コハク酸ソリフェナシン(ベシケア®
  • イミダフェナシン(ウリトス®/ステーブラ®
  • 酒石酸トルテロジン(デトルシトール®
  • オキシブチニン塩酸塩(ポラキス®
  • オキシブチニン塩酸塩テープ(ネオキシテープ®
  • プロピベリン塩酸塩(バップフォー®
  • プロパンテリン臭化物(プロ・バンサイン®

(2019年1月現在)

夜尿症診療
ガイドライン
での位置づけ

CQ10 夜尿症の診療において抗コリン薬は推奨されるか 1)

推奨 推奨グレード
抗コリン薬による単独治療は、単一症候性夜尿症に対する第一選択薬として推奨されない。 1A

推奨の強さ 2)
1:強く推奨する、2:弱く推奨する(提案する)

推奨決定のための、アウトカム全般のエビデンスの強さ 2)
A(強):効果の推定値に強く確信がある、B(中):効果の推定値に中程度の確信がある、C(弱):効果の推定値に対する確信は限定的である、D(とても弱い):効果の推定値がほとんど確信できない

投与について

抗コリン薬は、昼間尿失禁を伴わない単一症候性夜尿症に対する第一選択薬としては推奨されていません。ただし、単一症候性夜尿症に対し、デスモプレシンと併用することでデスモプレシン単独療法よりも夜尿頻度を低下させることが複数のランダム化試験で報告されていることから 3~7)、デスモプレシンと抗コリン薬の併用療法を実施することがあります。

※1:国内の抗コリン薬で小児の夜尿症の保険適用を持つ薬剤はありません(2019年1月現在)。

出典:
1)日本夜尿症学会 編:夜尿症診療ガイドライン2016. p.79,診断と治療社,2016
2)小島原典子・中山健夫・森實敏夫・山口直人・吉田雅博編集.Minds 診療ガイドライン作成マニュアル.Ver.2.0.
公益財団法人日本医療機能評価機構 EBM 医療情報部.2016.
3)Lee T, et al.: J Urol. 174(3): 1084-1087, 2005
4)Austin PF, et al.: Pediatrics. 122(5): 1027-1032, 2008
5)Montaldo P, et al.: BJU Int. 110(8): E381-E386, 2012
6)Kazemi Rashed F, et al.: ISRN Urol. 2013: 413146, 2013
7)Park SJ, et al.: Pediatr Nephrol. 29(7): 1195-1200, 2014

三環系抗うつ薬※2

作用機序 次の作用が知られているが、どの作用が夜尿症に対して有効かは不明。
尿意覚醒を促進する作用、抗コリン作用、尿量減少作用など
薬剤名
  • イミプラミン塩酸塩(トフラニール®
  • クロミプラミン塩酸塩(アナフラニール®
  • アミトリプチリン塩酸塩(トリプタノール®

(2019年1月現在)

夜尿症診療
ガイドライン
での位置づけ

CQ11 夜尿症の診療において三環系抗うつ薬は推奨されるか 8)

推奨 推奨グレード
夜尿症の治療において三環系抗うつ薬は、デスモプレシン療法か、アラーム療法か、その両方による治療で効果が得られない場合に提案する。 2A

推奨の強さ 2)
1:強く推奨する、2:弱く推奨する(提案する)

推奨決定のための、アウトカム全般のエビデンスの強さ 2)
A(強):効果の推定値に強く確信がある、B(中):効果の推定値に中程度の確信がある、C(弱):効果の推定値に対する確信は限定的である、D(とても弱い):効果の推定値がほとんど確信できない

投与について

三環系抗うつ薬については、安全性と副作用の観点から、夜尿症においては第三選択の位置付けであるとされています 9)

※2:イミプラミン塩酸塩の効能・効果は「遺尿症(昼・夜)」、クロミプラミン塩酸塩の効能・効果は「遺尿症」です(2019年1月現在)。

出典:
2)小島原典子・中山健夫・森實敏夫・山口直人・吉田雅博編集.Minds 診療ガイドライン作成マニュアル.Ver.2.0.
公益財団法人日本医療機能評価機構 EBM 医療情報部.2016.
8)日本夜尿症学会 編:夜尿症診療ガイドライン2016. p.83,診断と治療社,2016
9)Neveus T, et al.: J Urol. 183(2): 441-447, 2010